ドラッグストアで手に入る身近な薬でも、安易に長く飲み続けると
深刻な副作用を起こす可能性があることが指摘されている。
しかし、医療機関で処方される薬であっても、同様に危険なケースもある。
2015年1月、米国医師会が発行する医学雑誌『JAMA』にひとつの新しい研究報告が掲載された。
それによると、不眠症やアレルギー性鼻炎などに処方される「抗コリン薬」を
高齢者が長期間過剰に服用すると、認知症を発症するリスクが高くなるというのだ。
抗コリン薬とは、神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンが
アセチルコリン受容体に結合するのを阻害する薬だ。
この抗コリン作用によって副交感神経が抑制されるもので
主に胃腸けいれん止めや吐き気止め、抗うつ薬などにも使用されている。
さらに総合感冒薬や花粉症、めまい、酔い止めなどとして処方される
「抗ヒスタミン剤」にも抗コリン作用がある。
私たちにとって、ごく身近な薬剤なのだ。
これまでも抗コリン薬を使うと、一時的に認知障害が生じる場合があることは知られていた。
だが、それは服薬を中止すれば元に戻るものだ。
しかし、一方では「認知症との関連もある」と見る研究も少なからず存在していた。