[松山市 9日 ロイター] - 中曽宏日銀副総裁は9日、松山市内で講演し
原油価格の動向次第で日銀が目指す物価2%の到達時期が多少前後する可能性があるが
重要なのは「物価の基調」と語った。
金融政策が原油安に機械的に対応することはないとの認識を示したが
中長期的な予想物価上昇率に影響を与える場合は対応が必要と述べた。
中曽副総裁は、昨夏以降の急激な原油価格が経済・物価に与える影響について
短期的には物価上昇率を引き下げるが、エネルギー価格の下落によって企業収益や家計の購買力が高まるとし
「やや長い目でみると経済活動に好影響を与え、物価を押し上げる方向に働く」と語った。
具体的には、原油価格が昨夏の1バレル100ドル程度から同50ドル程度まで下がれば
2013年度の原油輸入額15兆円弱をもとに
「ごく単純に計算して、年間7兆円を上回る所得移転が国内にもたらされる」との試算を示した。
このため、原油安を受けていったん物価上昇率が鈍化しても、それが予想物価上昇率に影響を与えず
物価が基調的に2%に向かっているのであれば「金融政策で対応する必要はない」と指摘。
一方で、原油安が中長期的な予想物価上昇率に影響を与え
「先行き2%の実現が難しくなるとみられる場合には、金融政策による対応が必要になる」と語った。