ナノ光子技術の応用
『アクロマティック・メタサーフェス』と名づけられたこのレンズは
ナノ光子技術(nanophotonic technology)の応用だという。
光の波長よりも短い間隔で設置された金属や誘電体のナノアンテナのなかでは
光が通常とは異なる振る舞いをするという原理を活用したものだ。
この研究チームが2012年に試作したレンズでは、金属素材のナノアンテナを使っていた。
それは一定の色補正を実現したものの、焦点に集められる光はひとつの波長だけであり
しかもレンズとしての効率も低いというものだった。
それを今回は誘電体のナノアンテナにし、設計も変更することで、効率を改善し、幅広い波長の光にも適用できるようになった。
現時点でこの『アクロマティック・メタサーフェス』は光の3要素である
赤、緑、青の3つの波長の光を同じ角度で屈折させ、同じ距離に合焦させることができるようになっている。
これはほとんどのデジタルディスプレイに使えることを意味する。
さらに、研究チームのコンピューターシミュレーションによれば
この機構の応用でもっと幅広い波長の光に適用できることも期待されているという。
実際のところ、まだ完成には至っていないようだし、耐久性や温度に対する特性など不明な点も多い。
しかし、実現したとしたら、光学の世界には大変革が起こるだろう。
わかりやすいところでいえば、プロカメラマンのレンズは軽くてペラペラなもので十分になるかもしれない。
また、大型の天体望遠鏡が反射式ではなく屈折式でも実現するかもしれない。
光を使う様々な機器で設計が変わるのではないだろうか。
もっともレンズが軽くなる分、カメラマンは今より手ブレに気をつけなくてはいけなくなるだろうけど。
画像等
http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/02/achromatic_MS01.jpg
http://nge.jp/wp-content/uploads/2015/02/achromatic_MS02.jpg
以下ソース
http://nge.jp/2015/03/01/post-97048