まったり進行
俺がまだ小学校高学年あたりだろうなあ
年に何回か、家族で未亡人のばあちゃんの顔見に行ってたんだよ
まったり進行
俺がまだ小学校高学年あたりだろうなあ
年に何回か、家族で未亡人のばあちゃんの顔見に行ってたんだよ
ばあちゃんちがある部落はまじで田んぼと山しかなくて、のんのん並のド田舎
その年の春先、まだ少し雪が残ってたっけ
家族でばあちゃんち行ったら、例年のごとく「畑行くぞー」って始まる
俺と妹は乗り気じゃないけど、半強制的に連れていかれる
ばあちゃんちにいるのは退屈だけど、畑に行くのはもっと退屈でな
車で10分山の中進む
道中、旅館の廃墟があって、それがなかなか有名な心霊スポットらしい
部落の他の人がやってる果樹園やら畑やらぽつぽつ見えてくると、すぐうちの畑にも到着
最初の小一時間はボサボサ手伝う俺と妹も、飽きてくると木登りやら、長い緑の棒でチャンバラやら始める
今でもはっきり覚えてるのが、チャンバラは戦国武将並みにガチでやってた
他にも虫や蛙捕まえたり、畑行くシーズンで遊びはコロコロ変わる
んでそのときは春先だったんで、虫もあんまいなかった
暇してる俺らのこと見て、ばあちゃんが「ふきのとうでも探してこい」と
ふきのとう狩りはそれまでも何回か手伝って土地勘もあるんで、妹と二人、畑を離れて探しにいった
ちなみに地元では
ふきのとうを「ばっけ」と言う
大人を連れず畑を離れるのは初めてで、さながら冒険気分で大自然の中を歩き回った
さっきも書いた、旅館の廃墟
そこがずっと気になってた俺は、ふきのとう狩りを放って妹に「あそこ行こうぜ!」と誘った
すると妹も「私も行きたかった!」とノリノリ
ガキの好奇心って恐ろしいもので、今見たら昼でも近付きたくないようなおどろおどろしい場所なのにずかずか入っていった
中は壁や床が剥がれて、そこから雑草が生えてきてたり、とにかくボロボロだった
まあ特に心霊現象もなかったんだけどな
「なんもなかったなー」
「ねー」
なんて話しながら、近くの川まで歩くと、
釣りをしてる子供がいた
正直、その瞬間が一番びびった
俺らは年に数回ここに来るぐらいで、部落の人とはほとんど関わりがなかった