故郷から遠く離れて大学生活をしている弟から
久しぶりに電話があった
弟「あ、姉さん、僕だよ!それより、キティは元気かい?」
どうやら家に残してきた愛猫の様子が知りたいらしい
姉「あ、あんたの猫ね?こないだ死んじゃったわ。
近所の酔っぱらいの車にひかれてね」
少しの間、沈黙が流れた
どうやら受話器の向こうで弟は絶句しているらしい…
やがて、私の事を「思いやりがない」と非難した
弟「そういう時は…姉さんだって僕がキティを可愛がっていたの、
知ってるだろう??…嘘でもいいからさ、
『キティは昨日、木に登ったのよ』ってさ…」
姉「はぁ!?何よ、それ(汗)人の話、聞いてるの?
アンタの猫は酔っ払いの…」
弟「少し黙っててよ!そしたらさ、僕が『え、それでどうしたの?』
と尋ねるだろ?そしたらさ、
『みんなで助けようとしたけど、自分でどんどん上の方に登っていったのよ』
って姉さんが言うんだよ」
姉「……??」
弟「そう聞いたらさ、僕だって心の準備ができるだろ?
で、『それからどうなったの』って僕に聞かれたら、姉さんは
『可哀想だったけど、木から落ちてしまったんだよ』
って言うんだ!そしたら僕だってひどいショックをうけなくてすむじゃないか!」
姉「…分かったわよ…これから気を付けるわよ…」
弟「…いいよ、もう…あ、それよりさ!母さんは?元気かい??」
姉「母さん?ああ、母さんは昨日、木に登ったのよ」