今思うと吸い込まれるように遊歩道に入って行ったような気もするが
ともかく国内トップレベルの自殺の名所なのに足取り軽く入って行ったのは今思い出しても不思議
500mほど入って行ってなんの気なしに横道にそれる
横道とは言うが獣道みいな細道で人が歩いた形跡なんかない
取り憑かれたように小枝を掻き分けて行くと広さ12畳くらいの岩場に出る
まだ雪が残っていて岩の影や窪地にはゴミか何かだろうか
赤い布切れや白いビニールが半分雪に埋まっていた
ここで我に返って「あれなにやってんだ俺 帰ろう」と踵を返す
来た道を早足で戻り始めたのだがいくら歩いても元の遊歩道に出られない
仕方がないので木の隙間から差す日光と腕時計の時間で
方向の見当を付けながら足場の悪い岩場をいくつも横断する
だがいくら歩いても人の気配がしてこない
「やべぇ・・・ 引き込まれたかなこりゃ」そう思って焦り始めた
「焦ったら終わり」
「焦りは冷静な判断を妨げる」
そう言い聞かせて禁煙の国定公園内でタバコに火を付けた・・・