入り口から螺旋階段を３０ｍほど降りると線路が現れる
ここは東京湾の下 海底トンネル特有の匂いと初夏の夕立のような湿った生暖かさ
２ヶ月前から準備して運び込んだ山のような機材を前に始業点呼が始まる
「１班の受け持ちは３ｋ２５０ｍから４５０ｍの２００ｍ区間、２班の受け持ちは・・・」
役割分担が発表されるが俺が呼ばれない・・・
すると最後に
「インピンさんは先頭見張り兼連絡員で５ｋ５００ｍの沿線電話横で待機願います」
（ ＾ω＾）えっ？俺本作業入れないの？
「線路閉鎖（鉄道の通行止め）は掛けてありますが
何かの間違いで車両が進入した場合は停止させて下さい」
（；＾ω＾）えええそんな責任重大な仕事俺にやらせんの・・・
そして今年最後の貨物列車が轟音を響かせて
大阪方面に向けて通過した後５分くらいで線路閉鎖の手続きが終わる
「○○時○分、東海道貨物下り線、線閉着手ヨシ！」
地上ではそろそろ日が暮れる時間に作業が開始された
作業現場から２キロ以上奥の誰もいない海底トンネルの中で一人佇む俺
遠くから重機のうなり声とコンクリートをハツる音がかすかに聞こえる
目の前は漆黒の闇 魔界への入り口のようなトンネルの向こうを
見つめるだけの簡単なお仕事が始まる
１時間ごとに沿線電話で作業本部に異常なし の連絡を入れる
その都度
「どんな小さな事でもいいからおかしな事があったら報告して下さい」
担当者のJR職員のこの言葉の本意を後で思い知る事になるとは・・・
（ ＾ω＾）続く