安価でSS書くわ #52

52ジャスパー◆3VwoWSjoHw:2015/03/12(木) 22:48:38.43 ID:qZafbA7R

マスター「お前の父の名は乳男。母の名はママ子じゃ」

マスター「仲睦まじい夫婦じゃったよ。どこにでもありふれた、小さな家庭を築いていた……」

マスター「じゃがな、あれはお前が5歳のとき……じゃったかな。一人の女が現れた」

ガキ「まてよ……俺が5歳のときって、俺は両親の顔や名前すら覚えてないんだぞ」

マスター「まぁ聞け。その女は乳男にひどく惚れ込んでおったそうじゃ。妻がいる身と知りながら」

ガキ「……」

マスター「当然、乳男は相手にしなかった。大事な息子も産まれ、仕事も忙しかったからな」

マスター「女は乳男のそんな態度がさぞ気にくわなかったのじゃろう。無視を続ける乳男の妻、つまりお前の母親のママ子をな」

殺したんじゃ

ガキ「」ゾワッ

マスター「乳男は嵐のように怒り狂った。わしが会いに行ったとき、すでにあやつに昔の面影はなかったよ」

ガキ「……」

マスター「女を殺すために乳男はあらゆる手段を尽くした。が、女は死ぬどころかその状況を楽しんでいた」

マスター「なぜなら、女は人外の者じゃったから」

ガキ「……まさか」

マスター「そう、お前が出会った女。サキュバスの咲子じゃ」

マスター「それから乳男は行方をくらました。わしが知っているのは、これだけじゃ」

ガキ「……」

なつみちゃん「……」

ガキ「で、なんで俺が5歳まで両親と一緒だったなんて言うんだよ。さっきも言ったが、俺にはそんな記憶はない」

マスター「……正直に言うが、わしもわからん。わしが話してるうち、お前が何か思い出すのではと……」

ガキ「……なんだよそれ」

マスター「息子と最後に会ったとき、言われた言葉がある」

なつみちゃん「……」

ガキ「……」

マスター「 『親父、いつかお前の店に俺の息子が現れる。そのときは、何も言わずに、ガリガリ君を与えてやってくれ』 」

マスター「わしもその真意はわからんが、きっとお前がここに来ることを知っておったんじゃろう」

ガキ「……」

マスター「じゃからわしは、それを守らなければならない。まだ今日はガリガリ君を食ってはないな?」

ガキ「あぁ……」

マスター「……ほれ」

ガキ「……巨峰かよ」

マスター「ソーダ味は駄目じゃ。わしが好きだから」

ガキ「この前くれたろ。寄越せよソーダ味」

マスター「駄目じゃあああああ!それ以上冷蔵庫に近寄ったら殺すぞ」

ガキ「……」

ガキ「まぁいいけどよ」ガリガリ


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