こちらの男は魔法の呪文を持ってくる。こちらの男はテッサリアの媚薬を売る
――夫の精神を乱し、足裏で臀部を蹴ることができるよう用いる媚薬だ。
それでお前は馬鹿になり、頭にもやがかかり、
ついさっきしたことさえ大忘れするようになる。
しかしそれは耐えられることだ――
仮にいつもお前が、ひびだらけの大甕へ水を運びいれることがなければ。
怒れるパラリス王に俺らの王からだとしてお前が与えたのだとか言っていたはずの
その荷物を、水漏れしているまさにその甕に入れていつも抱えていることがなければ。
カエソーニアが震える子馬の額から作られた媚薬をすっかり飲ませた後の、
ネローの母方のあの叔父のように、お前が怒り狂いはじめることがなければ。
指導者の妻がすることを、しない女が誰かいるだろうか?
カエソーニアのせいで皇帝が狂い、そのせいで全てが燃え、継ぎめが折れて崩れ落ちる
――仮にユーノーが夫を狂わせていたとしたら起こっただろう状況と何も違わない。
だからアグリッピーナの毒キノコはまだ害が少ないことになる。
なぜならそれは老人一人の横隔膜を圧し潰しただけ、
天へ落ちるよう震える頭に命じただけ、
唾を長く垂らすよう唇に命じただけだ――
この媚薬は剣と火を呼び起こす。この媚薬はゆがめる。
この媚薬は、元老院議員らを滅多切りにして騎士たちの血と和える。
雌馬の子から作られた媚薬がこれほどの、一人の魔女がこれほどの、代償を求める。
女たちは妾の息子を嫌う。
誰も反対してはいけない。誰も禁止してはいけない。
今現在、継子を殺すのは合法だ。
多めの資産を有する、父亡きあと母に後見されている子供よ、俺はお前たちに助言する。
命を守れ、そして食卓を信じるな。
死の菓子パンは母の毒で熱くなっている。
お前を産んだ女が差し出したものは、どれも事前に誰かに噛んでもらえ。
飲み物のコップは臆病な家庭教師に事前に味見してもらえ。