「ほぼすべてのがんに有効」で副作用もないがん治療薬が登場 - GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20211201-cancer-therapy-without-side-effects-mtdh/
乳がんをはじめとするがんの転移に大きく関わっているとされているのが、「メタドへリン(MTDH)」というタンパク質と、これを合成するために存在するがん細胞の遺伝子です。
Kang教授は、2009年に発表した論文の中で「乳がん患者の腫瘍サンプルの30~40%でMTDHが合成されており、転移や化学療法への抵抗性の原因となっていた」ということを発見。続く2014年の論文では、MTDHが前立腺がんや肺がん、大腸がんなどさまざまながん細胞の増殖や転移に不可欠な働きをしていることを突き止めたと発表しました。
15年以上にわたってMTDHの研究をしているKang教授によると、MTDHはほとんどの主要ながんの転移に関与している一方で、正常な体細胞にとってはまったく重要ではないとのこと。
事実、MTDHを合成する遺伝子を持たないマウスを用いた実験により、MTDHがないマウスは普通のマウスと同様に成長し繁殖できる上に、がんになっても転移や再発を起こさないことが確かめられています。
しかし、マウスとは違ってがん患者の遺伝子を書き換えることはできません。
そこで、Kang教授はMTDHをいかに無効化できるかを調べる研究を続け、2021年11月29日に発表された2本の論文の中で、ついにMTDHが機能するのに必要な「SND1」というタンパク質とMTDHとの結合を阻止する化合物の特定に成功したことを発表しました。