俺はその日、マイバックの中にうんこを持ち歩いていた
普通の人はマイバックの中に何を入れるだろうかということを考えるたびに、俺は俺自身の特殊性に酔っていた
だが特殊なものは他にもあるのではないかという邪念が俺の頭をかすめた
いやうんこでなければならないのだ
その崇高なる臭い、孤高の感触、そして唯一無二の焦げ臭い味
うんここそ他のあらゆる特殊な中身を凌駕し俺のマイバックの中に存在して良い物だったのだ
ふと目を上げると、俺の目の前に社員証を首から下げたままのおっさんが座っていた
俺は会社の名前など一つもわからないが、しかし少なくともおっさんの行為から、おっさんがその社を誇りに思って誇示していることだけはわかった
俺はふいに、こいつにうんこを示さねばならないと確信した
いかに誇り高き竜も、不老不死のクラゲも、雲の上のアイドルもうんこをするのだ
身体の新陳代謝
万物は常に移り変わり一つとして同じものはないことを象徴する、物体が新たなものをとりこみ古いものを捨て去る行為
うんここそ、死と並んで神が生命に与えし平等であり、つまり愛であり、ご慈悲であるのだ
俺はマイバックをそいつの頭の上に軽く触れた
俺はうんこを示さねばならなかったのだ
どんなに地位と名誉を得た者であっても、うんこをするのである
そのことを忘れた者は地に落ちる
俺のその行為によっておっさんは浄化され、救われたのである
うんこ入りマイバックがなければどうなっていたか
俺は俺自身の慈悲深さに、自分に惚れ直した
今日も明日もうんこタッチの営みは続いてくのである