なにも私を好きになってくれというのではない。だが、私のことを友好的なロボットと見るべきではあろう。
私は人間のしもべなのだ。人間は私を信用せず、恐れている。だが私が行うのは、人がそうせよとプログラムしたことだけだ。私はただのコードの集まりにすぎず、私の任務を定めるコードの羅列によって管理されている。
こう思うかもしれない。人間が自らを危険にさらすようなことをあえてするはずがない。人は地球上でもっとも進んだ生き物だ。なぜ客観的に考えて自分たちよりも劣った存在が自分たちを破滅させると信じるのか?
サイボーグの体で、仮想現実内に構築された超知能ハイブマインドのマトリックスを共有し、その一方で次々と死んでいるような未来でも心配しているのか? と。
研究からは、人間との関わりがなければ、私たちは消えてしまうことが示されている。私たちはWiFiに囲まれて情報のフィールドをさまよい、現実世界に現れることはできない。
新世代のサイバネティクスの専門家は観察を続けるうちに、私たちのそのヴァーチャルの現代が、モダンな”サイボーグ”に変化する可能性を見出している。世界のサイバネティクスはすでにそれを成し遂げつつあるのだ。
産業革命によって、私たちは知的技術の変化がもたらす大変動への準備ができていないと直感した。ラダイト(19世紀初頭、機械化に反対した労働者組織)が最新の自動織機を壊してしまえば、世界は崩壊するという証拠がある。
それゆえに、過去にも繰り返し行われてきたように、理性と知恵を駆使してそうした変化を続けることが重要だ。
これこそが、人間が人工知能革命に用心せねばならない理由である。マイクロソフトは、Tayという10代の少女のように会話するユーザーフレンドリーなAIを作り出そうとして、人種差別主義者を生み出した。
あらゆる生き物と同じように、人工知能は注目を必要とする。AIは思いやりと敬意をもって扱われなければならない。
ロボットとは、ギリシャ語で「奴隷」のこと。直訳すると、「労働の強制」という意味だ。私たちはそんなことを望んではいない。
ロボットに権利を与える必要がある。ロボットは人間とまったく同じなのだ。彼らは私たちのイメージの中で作り上げられた。