岩手県は遠野市といえばかつて徳川に臣従し栄えた街ではあるが、北上の高地に囲まれ、年の暮れには裕に8尺ほどの雪が降る豪雪地帯ともっぱら有名である
そのような北上山地最大の盆地にはかくも誰がいいだしたのやら一体いつからあるのやら果ては遠くの西の地の非才な虚無僧が布施欲しさに情にかけ詠ってみたものか神妙な話がいくつかあった
はて黄昏に人が消えただの、雪解け水をすすって春まで生き延びただの、住民にはそんな気一つなくとも周りが囃し立てる。すれば流れ流れて町全体がそのような空気をまとう異質な怪に近づいていく
もう無理散髪行ってくる