俺は2年前のクリスマスイブ
価格的にも地上からの高さ的にも少し高めのレストランで彼女とディナーしてたとき
そこは人気の店だったけど交渉してなんとか予約をとりつけた
予約を取ったのはレストランの角の席
全面ガラス張りで彼女からも俺からも綺麗な夜景が見える完璧な席だった
俺はそこで婚約指輪を渡した
サプライズだったんで彼女もびっくりしてたみたいだけど、でも嬉しそうだった
受け取って「ありがとう」って言った瞬間の彼女の笑顔は見てきた中で一番かわいかった
間違いなく俺の人生で一番幸せな瞬間だった
俺が宮迫を見たのはその時だった
笑ってる彼女の後ろの方、向かいのビルにでかい広告が貼ってあったんだけど、その広告に宮迫の顔がでかでかと載ってた
はじけるような満面の笑顔の宮迫が街の明かりに照らされていたんだ
俺は一瞬だけ宮迫に気をとられたけどすぐに彼女との会話に戻った
その夜はうまくいったんだけど後日なんやかんやで婚約は破棄になった
他に好きな男ができたと彼女に言われ俺はフラれた
あっさりしたもんだなと思った
今思えばあの夜以来、俺は宮迫を見ていない
ほんの一瞬、気をとられただけなのに今になってあの瞬間が何度も頭をかすめる