タイ仏教ということだがタイ仏教の戒律にはこのような話がある。
あるときラージャガハ在住の社長さんが栴檀の鉢を作って高い竹のてっぺんにくくりつけて
「神通力者たちよ、あれを取れたならくれてやる」と言った。
いろんな新興宗教教祖がやってきて「私こそがあの鉢にふさわしい」と社長に言ったが
「じゃあ取れよ」と返されて、取ることができなかった。
そこに仏弟子ピンドーラバーラドワージャが颯爽と現れて、空中に浮かび上がって鉢を取り、
社長邸宅に降り立った。社長はたいそう喜んだ。民衆も噂を聞きつけて寄ってきて
わいわいと騒いだ。
仏陀はそれを聞いて「あの騒ぎはなんだ」と侍者アーナンダに問うた。
アーナンダから事情を聴いた仏陀はピンドーラバーラドワージャを呼びつけて
こう叱った。
「それは不適切だ。
なぜおまえは卑しい木鉢のために在家者たちに神通力を見せたのか。
例えば女が小銭のためにおまんこを見せるように、
ちょうどそのようにお前は卑しい木鉢のために在家者たちに神通力を見せた」
そして弟子たちにこう指示した。
「在家者たちに神通力を見せてはいけない」