葬儀を終えてしばらくして、遺品整理をしに実家を訪れた時だった。
中々片付かない遺品の山が散らばる中で兄は私を抱きすくめてきた。
「や! やめてよ!兄さん… ふざけないで!」
振りほどこうとしても兄は離してくれない。
それどころか、驚いたことに私自身の身にまるで力が入らない。
「もう、やめて! いいかげんにして! 私はもう、そういうことはしないと誓ってるのよ!」
兄はじたばたする私を抑え込みにかかる。
「いや! やめて! また、兄さんの子が出来たらどうするのよ!」
兄の手が止まり、私を掴む力が増した。 私はしまったと思った。