無職の童貞なんかにはならなかった
無職の童貞なんかにはならなかった
クソが
一流の研究所で働いて毎日頭を悩ませながらも「研究楽しいわ」とか言って夜まで頑張る俺
人間関係では上司もうまく懐柔して派閥を作って所内を掌握、俺を中心にして所員がみんな仲良く研究に打ち込むわけ
そしてたまには夜の町で酒池肉林の大騒ぎ
そんなある日出会った一人の美女
おしとやかで優しくて、でも芯があるしっかり者だけど、想像力が豊か過ぎるところもあってフライにされた有頭海老と会話とかしちゃうわけ
でもぱっと見は完璧に見える彼女も実は孤独を抱えているの
彼女はいわゆる八方美人で、誰かに本音を打ち明けるなんてことはない
さびしいわけ、彼女
もうね、誰も見てないときに野良猫相手に本気で相談して泣くくらいつらいの、彼女は
当然俺は彼女の孤独に気づくわな
孤独って誰しも抱えるものじゃない?
だからさ、俺も彼女の気持ちがわかるわけ
そんで
「無理しないでいいんですよ」
「無理なんて……」
「せめて僕の前では素のあなたでいてください」
「……ありがとう」
みたいな会話があって彼女は俺の胸でしばらく泣くの
そっから二人の恋、いや愛の物語の始まりよ
もうね、なにもかもが順風満帆なの
そりゃうまくいかない時もあるし、失敗もするよ
でもなんだかんだで最後はうまくいくの
仕事で失敗しても上司がカバーしてくれるし、つらいときは彼女が傍にいてくれるわけ
そんで俺も周りに感謝して「これじゃあダメだ」って言ってまた頑張るの
老後は彼女と静かに暮らすだろうね
たまに昔の同僚と会ったりするかな?
「あの頃は大変だったなぁ」とか語るかもしれない
昔を懐かしみつつ、ゆっくり人生にけじめをつけていくわけ
幸せだろうねぇこんな人生