未遂も含めて、通り魔事件の被害者が10人を超えた頃、俺にある異変が起こった。
朝、いつものように出勤していると、ひとりの大柄な屈強そうな男に目が付いた。その瞬間、俺はそいつをめちゃくちゃにしてやりたい衝動に駆られた。
とにかくめちゃくちゃにしたい、その男を力で蹂躙したいという激しい衝動で、俺はそれを抑えるのに苦労した。
俺はなんとか自制して、逃げるように会社へ向かった。ところが、同じような衝動が同僚たちに対しても起こった。仕事にも全く集中できないし、俺はもう限界だと思った。
結局、その日は会社を早退した。俺は直感的に、この一連の不調があのスーツの男のせいだと疑っていた。初めて会った夜に、あの男が俺の体になにかしたんだと思った。
その夜、俺は何としてもあいつを問いただそうと、スーツの男を待った。