さすがに二人も被害者が出ると、住民たちの不安が増した。「不審者に注意を」っていう注意書が配られたり、夜中に警察が見回りをしたり、これ以上被害が出ないよう対策がとられた。
だが、それでも通り魔事件は起きた。通り魔は決まって深夜に現れ、無差別に人を殺した。被害者は日に日に増えていった。
俺はというと、相変わらず目覚めの悪い日が続いた。疲れが抜けず、身に覚えのない疲労感に悩まされる日が何日もあった。俺はだんだん体の調子が悪くなり、ストレスが溜まっていった。
あの男はたびたび現れ、毎回謎めいた言葉を残して消えた。その内容は大抵「この前はよかった」とか「次も頼むぞ」といったものだったが、なんのことを言っているのかさっぱりわからなかった。