その後はいつも通り仕事をして、俺はその日も夜中に会社を出た。通行止めはまだ続いてたから、俺はまた遠回りをしないといけなかった。まだ近くに犯人がいるかもしれないと思うと気味が悪くなって、俺は家路を急いだ。
やっとの思いでアパートの前まで来たとき、俺はまたあのスーツの男を見つけた。前の日と同じく、そいつは街灯の下でなにもしないで立っていた。俺は一瞬ためらったけど、気にしないことにした。
早く自分の部屋に帰ろうとそいつの前を通りすぎたとき、そいつははっきりした声で「昨夜はよかったぞ。なかなかの腕前だ」って言ったんだ。
俺はつい立ち止まってそいつを見た。なんのことを言ってるのか、俺は不審に思った。「何の話ですか?」って俺が言うと、そいつは小さく笑って「もしかして覚えてないのか?」って言った。
何を言ってるのかさっぱりわからなくて、俺は黙っているしかなかった。そんな俺を無視して、そいつは「まあしょうがない。あれはお前の意思ではないからな」って言った。
そして「今夜も頼むぞ」って言うと、またどこかへ行ってしまった。