その子は高価そうなカメラを持ったおっさんと砂浜に並んで立ってた
俺が立ってたところはそのふたりからあんまり離れてなかったから、女の子の顔もよく見えたんだけど、けっこうな美少女だったよ
ほんと若くて制服来てたからたぶんまだ高校生くらいだったんだと思う
途中おっさんがどっかに行って俺とその子の二人だけになった
冬だったから海水浴客なんていなくて、周りには他に誰もいないんだ
女の子の後ろには由比ヶ浜の海が広がってて、結構いい絵なんだよな
俺はかわいいなぁと思って、その子のことたまにチラ見してたんだけど、ふと目があったんだよ
その時なんか知らないけど、その子は笑ってた
単に微笑んでたというよりは、我慢できなくてつい笑っちゃったみたいな感じで、ちょっと照れたような表情だったよ
それ見て俺は切なさと言うか儚さみたいなの感じたんだ
若者の青春を目の当たりにしたような気がしたんだよ
2年くらい前のことだけど思い出すと未だになんだか切なくなる