大気汚染や環境破壊はエイチ氏の玄関先のおかげでなくなり、心に余裕のできた人々は争いもやめ世界は平和になった。
厄介な病原菌もエイチ氏の玄関先に捨てることでこの世から消え、病気に苦しんだり死んだりする人もかなり減少した。
そうなってから何年後のことである。
ある都市で働く弁護士が自分の事務所の入っている建物に行くと、ポストの前に見知らぬモノが置いてある。
それはどこかの家の玄関マットであった。
なんでこんなものがあるのだろうかと首をかしげたが、次の日にも同じように見知らぬモノが置かれている。
弁護士はそのうさぎの置物を不思議そうに一瞥し事務所に入っていく。
しかし事務所に入り、澄み切った青い空を窓越しに眺めると、そんな置物のことなどすっかりと忘れてしまった。
(終了)