あとにはおれ太郎とおまえらが残されました。おれ太郎はおまえらの方を向きました。こうして近くで見ると、おまえらは本当にただのおっさんです。
おまえらはおやじ狩りに遭って疲れたのか、両膝をくっつけて左右の太い足を外側に向けた状態で座っていました。中年太りのお腹は呼吸する度に大きく動いています。おれ太郎は
「大丈夫ですか?」
と尋ねました。おまえらは少し呆然としているようでしたが、こくりと頷きました。おれ太郎はそれを見ると
「よかった。それじゃあわたしはこれで」
と言って立ち去ろうとしました。その時、おまえらはニワトリのように甲高い声で
「待ってください!」
と言いました。おれ太郎は再びおまえらに向き直りました。