その時、男たちの中心にいたおまえらがなにか甲高い声をあげました。その声は、快楽に必死に抵抗していた者が、ついにそれに屈した際に発するものでした。
「んほお!んほおおおお!!」
その声を聞いて、おれ太郎は彼らが何をしているのか理解しました。どうやらおまえらは男たちにレイプされているようです。
(あれがうわさに聞くおやじ狩りか......)
初めて見るおやじ狩りに、おれ太郎は思わず固唾を飲みました。おまえらが声を出したことで、男たちのボルテージはさらに上がっていくようでした。
おれ太郎と彼らしかいない海辺に、おまえらの声が響き渡ります。まるでおまえらは、誰かに向かってなにかを訴えているかのようです。さすがのおれ太郎もなんだか可哀想に思えてきました。
おれ太郎は、子供のころから、目の前の現実を検討することが苦手でした。つまり現実をきちんと理解できないのです。夢や理想ばかり語り、現実的なことはほとんど考えられない男でした。
そのため浅はかな言動を取ることが多く、その度に周囲の人々は飽きれていました。しかし、この性格のおかげで、彼は無職でありながらも平然としていられるのです。