家に向かう道中で、おれ太郎は玉手箱について考えました。乙おまえら様はこの中に宝が入っていると言いました。おれ太郎は、その宝を売れば、一生働かなくていいくらいの大金が手に入るのではないかと思いました。そうすれば、両親も早く働けなどと言ってこなくなるでしょう。
おれは急いで家へ帰りました。自分の家に着くと、玄関を開けていつになく大きな声で
「ただいま」
と言いました。家の中から人が歩いてくる音が聞こえたので待っていると、出てきたのはおれ太郎の全く知らないおばさんでした。おばさんは厳しい目をおれ太郎に向けると
「あんた誰」
と聞きました。おれ太郎はびっくりしながらも
「この家に住むおれ太郎ですが」
と答えました。するとおばさんは驚いた顔をして
「おれ太郎って、浦島おれ太郎かい?あの無敵の無職と呼ばれていた?」
と聞きました。おれ太郎がそうだと答えると、おばさんは冗談はよしてくれよと言い
「ここに浦島という家族が住んでいたのは100年以上も前のことだよ。息子のおれ太郎はとんでもない無職だったそうだけど、ある日突然いなくなって最後まで帰って来なかったそうじゃないか」
と言っておれ太郎を追い出してしまいました。