屈強な男たちはおまえらになにやら罵声を浴びせています。どうにも険悪な雰囲気です。危険を感じ取ったおれ太郎は、距離を置いて彼らを観察することにしました。無敵の無職も、身に危険が及びそうな場面では空気を読むことができるのです。
かと言って、彼は早々にこの場を立ち去ろうとはしません。おれ太郎は安全な場所から事件を見るのが好きでした。端的に言えば、彼は強烈な野次馬根性の持ち主だったのです。
よくよく見ると、向こうにいる彼らは服を脱いでいました。男たちは下半身が裸で、おまえらは全裸です。すぐ脇には彼らのものと思われる服が散らかっています。
男たちはおまえらに向かって体を小刻みに動かしていますが、何をしているのかよくわかりません。時折おまえらのぷくぷくとした顔も見えます。頬は紅潮し、表情は歪み、なんだか恥ずかしそうです。おれ太郎は
(なんだあのおっさん気持ち悪いな)
と思いながらも目が離せないでいました。