しばらく待っていると、広間に一人のおまえらが入ってきました。そのおまえらはとてもけばけばしい化粧をしている中年男性でした。普通なら、ちょっと派手な若い女性がするような化粧をそのおまえらはしていたのです。
しかしそのけばけばしさの中にも男性らしさが垣間見え、口の周りにはうっすらと青髭が残っています。そのおまえらは、化粧で妙に強調された両目をおれ太郎に向けると
「ようこそ竜宮城へ。わたくしは乙おまえらです。この度はわたくしたちの仲間をおやじ狩りから守っていただきありがとうございました。感謝のしるしとして、これからあなた様のために盛大な遊宴をいたします。どうそごゆるりとお楽しみください」
と言いました。乙おまえら様はもう完全に裏声でした。広間全体が拍手に包まれると、乙おまえら様はゆっくりとおれ太郎の席に近づき、横に座りました。
するとどこからともなく料理が運ばれてきました。さきいかや柿ピー、枝豆などおっさんのおつまみばかりです。小さな瓶も運ばれてきましたが、それはどう見ても普通のワンカップでした。
おれ太郎はこれらが大好きだったので、大変喜びました。早速料理に手を伸ばすと、広場の隅にいた何人かのおまえらが楽器を演奏し始めました。
こうして宴会は始まったのです。