男(やっぱりはぐれたのか……。どうしたものかな。母親を探すにしても、こんな小さな子どもを連れて山を歩くのは危ないだろうし……)
男「お母さん、どこ行ったのかな?」
幼女「さっきまでいたんだよ。たんぽぽがいっぱい咲いてたの一緒に見たもん」
男(ということは、母親も近くまで来てるな。取りあえずは大丈夫か)
男「……ん?」
幼女「どこ行ったんだろ……」キョロキョロ
男「足ケガしてるね。どうしたの?」
幼女「転んだの」
男「痛かったでしょ。待っててね、いま絆創膏持って来るから」
男は急いで家に戻った。玄関に入ると、廊下が右から伸び、目の前で直角に曲がって奥の方で止まっていた。その廊下の両脇に部屋が二つある。右の部屋は寝室、左は居間だ。居間の奥に台所があった。
男は台所に入って消毒液と絆創膏を探し当てると、再び外に出てきた。