2つの睾丸は別々の鉢に植えた。数週間立っても睾丸に変化はなかったが、水だけはやり続けた。水をやっている間は、マイサンとの思い出としっかりと向き合うことができた。
2つの睾丸は別々の鉢に植えた。数週間立っても睾丸に変化はなかったが、水だけはやり続けた。水をやっている間は、マイサンとの思い出としっかりと向き合うことができた。
睾丸を植えてから3ヶ月がたったある日、睾丸は小さな小さな芽を出した。肌色で棒のようにまっすぐな変わった芽だったが、俺は嬉しかった。芽を出してからは肥料もあげた。肥料と言っても、爆散したマイサンの欠片だが、マイサンを葬るのに一番いい方法のような気がした。
肥料のおかげだろうか、睾丸はぐんぐんと成長していった。形は相変わらずだが、1cmだったものが2cm、3cmと大きくなっていくのを見るのは楽しかった。
ある日、順調かに思えた睾丸に変化があった。片方の睾丸が紫色に変色したのだ。それ以来その睾丸は大きくならなかった。どうやら枯れてしまったらしい。
残った睾丸はその後も成長し続けた。10cm程の長さまで成長したある日、ふとその睾丸が見覚えのあるものに思えた。正確には先端から5cmの部分だ。その部分だけ太くなっていて、どことなくマイサンを彷彿とさせた。
俺はどうしても我慢できなくなり、その部分を摘み取った。そして服を脱ぎ、摘み取った睾丸を股間にガムテープで貼り付けた。なんとなくいい感じである。懐かしい感じさえした。その状態があまりに心地よいので、俺はそのままでその日を過ごした。
翌朝目が覚めると、股間のガムテープがぐちゃぐちゃになっているのが分かった。どうやら寝ている間にそうなったらしい。ところが、上半身を起こしたところでふと違和感を覚えた。
「ずれてない……」
そう、ガムテープで無理矢理貼り付けていたはずの睾丸がずれていないのだ。
おかしい、と思ってパンツに手を突っ込んで確かめると、あろうことか、睾丸は体にくっついていた。俺はもしかしてと思い、慌てて呼び掛けた。
「おい!マイサン!」
しかし返事はなかった。俺は少し落胆した。当たり前だ。ちんこは呼びかけに答えない。何を考えているのだと自嘲した。
新たなちんこは声を発しない以外はきちんと機能していた。排泄はもちろんだが、戦いも再開できるようになった。しかし、その戦いも以前に比べると張り合いのないものだった。
そんなある日、俺は極上のオカズを発見した。久々にいい戦いになりそうだと、胸が高鳴った。
俺はもったいぶって服を脱ぎ、戦いを始めようとちんこを握った。その時ふいに、聞き覚えのある声が聞こえた。
「お!マイブラザー。始めるのかい?」
「え?」
俺は驚いて体の動きを止めた。声の出所はどうやら股間らしい。ばっと顔を下に向け股間を見ると、そこには最近くっついた新しいちんこが臨戦態勢で佇んでいた。
俺は訝しんでちんこをじっと見つめた。するとまたあの声が聞こえたのだ。
「おいマイブラザー!なにグスグズしてるんだ!早く始めようぜ!ソウルが抑えられねぇ!」
「お、お前……?」俺は呟いた。
「マイブラザー!お前だってソウルを感じてるだろ!?さっさとぶちまけようぜ!」
なにがなんだか分からなかったが、確かにソウルは感じていた。俺は恐る恐る右手でちんこをしごき始めた。
「へいへいマイブラザー!今日はまた一段と大人しいじゃねぇか!どうしちまったんだよ!」
その懐かしい声に励まされるかのように、俺は徐々にしごくスピードを上げた。それとともに戦い特有のあの高揚感が沸き上がってきた。
「調子出てきたじゃねぇか、マイブラザー!さあ、ここからクライマックスだぜ!」
俺はますますしごくスピードを上げた。「うおおおおお!」
「ぐあっ!」という声とともに熱いソウルが飛び出した。久しぶりに心地良い達成感だった。
「ふぅ。今日も良い戦いだったな。マイブラザー」
「お前、どうして……?」
俺が聞くと、マイサンは「なんのことだ?さっきから様子がおかしいぜ?マイブラザー」と答えた。
そして、呆然としている俺を無視して
「さ、俺は明日の戦いに備えて少し休ませてもらうぜ。おやすみ」
と言って大人しくなってしまった。
「あ、ああ。おやすみ」と、俺はかろうじで返事をした。そのまま床にへたりこんでしまった。「これはいったい……?」
だがそんな疑問も、マイサンを撫でているうちにどうでもよくなった。さっきのマイサンの言葉を思い出す。
「明日の戦い……」
そうだ、戦い。明日もあるのだ。
俺は立ち上がって机の前に座り、パソコンを開いた。俺たちの熱いソウルを引き出す、極上のオカズを探すために。そう、俺たちの戦いはまだまだ続くのだ。
おしまい