「持って帰るとおっとおやおっかあにバレちまうから、ここで食っていっちまうべえ」
そうひとりごちると、寝譜男は手際よく焚き火の準備をして、芋を全部放りこみました。
「火燃してるの誰だべ!」
「ひぃっ!」
突然浴びせられた鋭い声に首をすくめた寝譜男が、恐る恐るそちらを見ると、
見回りにきた関 李仁(かん りにん)さんが立っていました。
「寝譜男か!まぁーたおめはわりぃ事して…ああ!種芋焼くなおめ!」
関李仁さんはカンカンです。
普段村のみんなには馬鹿にした態度をとる寝譜男ですが、関李仁さんにだけは頭が上がらないので、
「あ、明日買ってくるから待っててけろ…堪忍してつかぁさい…」
と、心にもない謝罪をしました。