ここはとある農村。秋の収穫作業を終えた農夫達が、今年の豊作に沸いていました。
「いんやー、今年は芋っこがいっぺぇ取れたなや!」
「んだんだ」
「いっぺぇあるからみんなに配るとしてよ、こんだけは種芋にとっとくべか?」
「んだんだ」
「んだばこれは来年の作付けまでしまっとくとすべえ」
「んだんだ」
農民達は種芋を倉庫へ大事にしまうと、残りの芋を持ってそれぞれの家へと帰って行きました。
その晩のこと。一人の男がこっそり倉庫に忍びこんでいます。
「へっへっへっ、なあーにがみんなに配るだべ。どうせオラにはほとんどくれねえ癖によー!
オラ腹が減って仕方ねえ!種芋なんか知ったことか、みんな食ってやるべ!」
男は村の嫌われ者、寝譜雄でした。寝譜男は自分では農作業をほとんど手伝わないのに、
人の作業に口出しばかりするので、みんなに嫌われて、分け前もあまり貰えなかったのです。