戦後、GHQは復興のための建築資材として、成長が早く間伐も容易な杉の植林を推奨した。
まだ人々の生活が困窮していた当時、杉の植林事業は瞬く間に全国に波及し、
同時に杉林もまた、日本中の里山を中心に爆発的に広がっていった。
しかし、日本が目覚ましいスピードで戦後復興を遂げ、その経済力をわずか10年ほどで回復すると、
海外から輸入された安価な建築資材が杉材にとって代わるようになる。
やがて高度経済成長期に入ると、これらの全国の杉林から飛散する大量の花粉は、
大気中で光化学スモッグなどの化学物質と結びつき、アレルギー誘発性の物質へと変化した。
今日、我々日本人の多くが花粉症に苦しめられるに至ったのは、このような経緯によるものである。