以前、私が本屋のトイレで用を足そうとしたところ、他のお客さんのものと思われる巨大なウ〇コと遭遇した。
和式便器に鎮座したソレは子供の腕ほどもあり、圧倒的な存在感と謎の威厳を感じさせた。
こんなでかいウ〇コをする人間がいるんだな、とか、これが体内に収まっていたのか、等と考えながら流水レバーをひねる。
ごおお、という音とともに便器の中を勢いよく水が流れる。
しかしウ〇コは流れない、巨大なウ〇コは水流の只中にいるのに、時折その巨体をユラユラと揺らすだけだ。
仕方がないので、掃除用のブラシでその巨体を便器の頭（スリッパでいうと足先が収まっている部分）の方へと押し込み、再びレバーをひねる。
…流れない。
どうやら、水が流れていく先はコの字型になっているらしく、ウ〇コはそこで引っかかり、今度は水中でユラユラと揺れている。
私はその様子をしばらく眺めた後、ブラシを所定の位置に戻し、個室の扉を開け、誰にも見つからないよう用心しながらトイレを出た。
トイレの近くにある医学書の棚を神妙な顔で眺め始めてしばらくすると、一人の男性がトイレに入っていくのを確認した。
私は素早くトイレの扉に近づき、耳をすます。
「うおっ」
微かにだが、確かにそう聞こえた。