心当りの方面を歩き廻っていると、
金魚屋が見付かった。狭い木戸を押して
中にはいると、幾つもの池に種々な金魚が
一杯はいっていた。彼は竜金の池に目をつけた。
尾が大きく色がよくて、それが一番立派そうだった。
お上さんを呼んで、「四五匹下さい、」と云った。
多くの群の中から、望みのものを選り出さなければ
ならなかった。これと目星をつけて、白い鉢の中に
掬い上げて買うと、それより他のものの方が立派なように
思われた。他のを掬い上げて貰うと、更に立派なものが
出てきた。彼は何度も選定を変えた。
心当りの方面を歩き廻っていると、
金魚屋が見付かった。狭い木戸を押して
中にはいると、幾つもの池に種々な金魚が
一杯はいっていた。彼は竜金の池に目をつけた。
尾が大きく色がよくて、それが一番立派そうだった。
お上さんを呼んで、「四五匹下さい、」と云った。
多くの群の中から、望みのものを選り出さなければ
ならなかった。これと目星をつけて、白い鉢の中に
掬い上げて買うと、それより他のものの方が立派なように
思われた。他のを掬い上げて貰うと、更に立派なものが
出てきた。彼は何度も選定を変えた。