彼はぼんやりその後姿を見送った。
その時、自分が口に楊枝をくわえて
いるのに気付いた。楊枝を口にくわえて
ぞんざいな口調で先輩に金魚屋を尋ねてる
自分の姿が、頭に浮んだ。「木川は怒ってるかな、」
と彼は考えた。取り返しのつかないことをしたような気がした。
妙に薄ら寒くなった。
彼は下宿の方へ帰りかけた。「今日はいい日だ、」
という朝からの気分が頭の隅にこびりついていた。
「こんな気分を無駄にしてはつまらない、」と彼は考え直した。
そして兎に角金魚を買って戻ることにきめた。
彼はぼんやりその後姿を見送った。
その時、自分が口に楊枝をくわえて
いるのに気付いた。楊枝を口にくわえて
ぞんざいな口調で先輩に金魚屋を尋ねてる
自分の姿が、頭に浮んだ。「木川は怒ってるかな、」
と彼は考えた。取り返しのつかないことをしたような気がした。
妙に薄ら寒くなった。
彼は下宿の方へ帰りかけた。「今日はいい日だ、」
という朝からの気分が頭の隅にこびりついていた。
「こんな気分を無駄にしてはつまらない、」と彼は考え直した。
そして兎に角金魚を買って戻ることにきめた。