............でゅふふ、エリカたんの心も身体も全部ぼくの物だお!やっぱりエリカたんは優雅で素敵だお......。
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「......ぃ......ぉ..さい..........起きなさい!」
全面を冷たいコンクリートで覆われたその部屋に、ペシリと頬を叩く音がこだまする。
「ブヒー、また中で出すお!」
エリカは苛立ち、掌底を醜い鼻に軽く打ちつける。
「フゴッ!……あ、あれ?エリカたん?……あぎぃっ!?い、痛い!?」
男は起きあがろうともがくも、四肢に激痛が走るばかりで、一向に思うようにならない。
「無駄よ、お休みの間に間接を外しておきましたから。自由を奪うなら、ここまでしないとね」
男の懐から奪った鍵で枷を外して自由になった右足を見せつけながら微笑むエリカ。
「まったく、あの程度で気を失うなんて、だらしのない。まだ何も教えてあげてないじゃないの」
「痛い!痛いお!動けないお!ブヒヒ!」
周囲を此れ見よがしに歩きまわりながら喋り続けるエリカを、激痛に叫びながら目で追う事しか出来ない男。
「まあいいわ、レクチャーはおしまい。ところで、そこでこんな物を見つけたんだけど、
貴方園芸がご趣味なの?似合わないこと」
エリカの手には、大振りの枝切り鋏が握られている。
「それとも、これで拷問の真似事でもしていたのかしら?」
無論、後者だ。ですりんを脅すのに、幾度となく使った鋏だった。
「さて、私はこの鋏をどちらに使うでしょうか?」
答えられよう筈もない。
「悪い枝はぁ~、チョッキン!チョッキン!」
鋏を動かし可愛く戯けるエリカの姿に、己のこれから辿る運命を確信した男は、人目を憚らず号泣する。
「ママァァ~!!助けてお!!キチガイ女に殺されるお!!」
「ほほ!汚らしいこと!おほほ!」
声は誰にも届かない。
少しだけ開いた窓の隙間から、すっかり冷たくなった秋の風が、部屋の中の熱気と狂気を、微かに洗い流すのみ。