( 二人の殺し屋と少女の物語。 )? #6

6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします@2周年:2015/05/10(日) 18:28:03.66 ID:PSLxgAk/

002

 数え切れないほどの星が煌く夜空の下を二人の青年は、歩いていた。
 目的地は、次のターゲットの家。

 燈浬は溜息をつきながら呟く。

「はー……。何で、結局俺はついていってるんだろう」
「それは、燈浬が行くゆうたからやろ?」

 ありもない事を言った侑稀を燈浬は、睨み付けてから言った。

「ぶっ殺していい?」
「嫌って言ったらどうするんや?」
「殺すかな」

 即答だった。
 侑稀は苦笑いを浮かべて言う。

「どっちみち殺るんなら、聞く意味あるん?」
「遺言が聞けるかな、と」

 燈浬は、冗談なのか本気なのか分からない言葉を発しながら、煙草をくわえ火をつけた。
 細く、紫煙が昇っていく。

 それをジッと見つめる侑稀。

「……侑稀?」
「ん? あ、なんもない。にしても、燈浬はいつも仏頂面やね」
「急になんだよ。つーか、お前みたいにいつも能天気面なんかできるかよ……」
「能天気面とは酷い。笑顔って言ってくれへん?」
「お前の笑みに騙される奴、何人いるんだろうな……」

 ぽつり、と寂しげに紡がれた意味深な言葉。

「ちょ、燈浬、それってどういう……」
「絢にでも聞いてみろ。ほら、お前、自分のターゲットの家位、覚えてろよ」

 立ち止まった燈浬の視線の先には、かなり大きな家。
 絢が手に入れた情報によれば、ターゲット一人だけが住んでいる。
 にしては、大きすぎないか? と言う問いは燈浬の胸中にしまっておく。

「ほー、大きい家やね。つか、燈浬よぉ分かったな」

 燈浬は殴りたくなる衝動を抑えて、その怒りを溜息と共に吐き出した。

「溜息ついとったら、幸せ逃げるでー。……んじゃ、俺は行ってくるんで見張りよろしゅーなー」

 侑稀は笑みを浮かべてそう言うと、忍び込むために姿を消した。

 一人残された燈浬は、煙草の灰を落として、ドアの隣にしゃがみこむ。
 そして、煙草をふかしながら、廃墟の屋上で見ていたように空を仰ぐ。

「あー……流れ星、みえねーか……」

 やはり、先ほどの流れ星は本当に偶然……いや。

 偶然なんかない。すべては、必然だ。

 ――――なんて言っていたのは誰だったっけ。


 突如響いた、女の悲鳴に燈浬の体が強張った。
 しかし、それはほんの一瞬の事で、煙草の火を踏み消して手で顔を覆って呟く。

「俺は……何してるんだろうな? ――――珠祈(タマキ)」
「燈浬っ!!」

 急に耳に届いた侑稀の怒鳴り声に近い声。
 何事かと、燈浬は立ち上がって返事をする。

「何だよっ!!」

 すると、燈浬の心配もよそに侑稀の笑みが含まれた声。

「ガキが逃げた。そっちで捕まえてくれや」
「――――は?」

 燈浬が、間抜けな声を発した後、燈浬の隣にあるドアがバンッと音をたてて開き、十六歳くらいの少女が現れた。

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