怖い話貼ってけ #83

83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/04/20(月) 20:11:13.75 ID:hbw+50bf

643 :チキン :2001/04/30(月) 17:18?
母と娘が旅行に行った。
娘はもうすぐ嫁ぐ身、最後の母子水入らず。?
ありきたりの温泉宿で、特徴は海に面した・・・それだけ。?

部屋に通されるとやる事がない。?
駅から続く温泉街の土産物屋はだいたい覗いて来たし、夕食までにはまだ時間があった。?
そこで二人はお風呂に行く事にした。
「この先の廊下を行くとあります。今でしたら丁度、夕日が綺麗ですよ」?
女中さんはそう言って、忙しそうに戻って行った。?

言われた通りに進むと、一本の長い廊下に出た。左右にはバーや土産物屋が並んでいた。?
そこを通り過ぎて行くと、廊下は右に曲がっていた。?
その正面には『男湯』『女湯』の暖簾が。
中から音は聞こえない。ふたりで満喫出来そうだ。?

支度を済ませ浴場に入ってみると、案の定誰もいない。?
「うわー、素敵ねぇ」?
娘は感嘆の声を挙げた。
正面は全面開口の窓、窓に沿って長方形の湯船。?
その窓の外には夕日に光る一面の海。?
二人は早速湯船に入った。

娘は湯船の右奥が仕切られているのに気付いた。1メートル四方程の小さなもの。?
手を入れてみると、飛び上がるほどの熱い湯だった。?
「きっと足し湯ようなのね」
母の言葉で、娘は途端に興味を失った。?

風呂は全く素晴らしいモノだった。?
湯加減、見晴らし、なにより二人きりの解放感。?
窓と浴槽の境目には、ちょうど肘を掛けるくらいの幅があった。?
母は右に、娘は左に、二人並んでたわいもない話をしていた。?
ゆっくりと優しい時間が過ぎて行く。?


644 :チキン :2001/04/30(月) 17:42?
その時、母は突然悪寒を感じた。?
自分の右の方から、冷たいモノが流れて来るのを感じたのだ。?
普通ではない、なぜかそう直感した。?
あの熱い湯船の方から、冷たい水が流れてくる等ありえない。?
それに視線の端に、何かがチラついている気がしてならない。?
急に恐怖感が涌いて来た。?
それとなく娘の方を見てみる。?
母は血の気が引く思いがした。?
娘の表情。これまでに見た事のない表情。
しかも視線は自分の隣を見ている。?
口はなにかを言おうとパクパク動いてるが、声は出ない様子。?
母は意を決して振り返って見た。?
確かに誰もいなかったはず。また、後から誰も入って来てはいないはず。?
が、自分の右隣には見知らぬ女がいた。
しかも、自分達と同じ姿勢で、肘をついて外を見ている。?
長い髪が邪魔して表情まではわからない。
しかし、なにか鼻歌のようなものを呟きながら外を見ている。?
「おか、あさん、その人・・・」?
娘はようやく声を絞り出した。?
「ダメ!」?
母は自分にも言い聞かすように声をあげた。

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