社会全体の問題として
岡教授は、度重なる深刻な誹謗中傷を受けても、発信はやめないと公言している。卑劣な言動によって口を閉ざしてしまえば、それは相手の思う壺であるし、言論の自由を封殺されたことになってしまう。さらに、科学的な情報よりも、主観的でバイアスに満ちた危険な医療情報が拡散されてしまうことにもつながる。岡教授の勇気と責任感に対し、心からの敬意を表したい。
悪貨が良貨を駆逐するようなことを許してはいけない。医療に関するデマや誤った情報は、われわれ一人ひとりの生命や健康を脅かすだけでなく、社会全体に対しても計り知れない悪影響をもたらしてしまう。その意味で、われわれ自身が、専門家とその発言を守り、誹謗中傷などの攻撃に明確な「ノー」を突き付ける必要がある。
つまり、われわれは、匿名をいいことに医療者を攻撃し、その口をふさごうとする卑劣な行為に対して、単に当事者間の個人的な問題としてとらえるのではなく、社会全体の問題として認識しなければならない。そして、誹謗中傷や非科学的な誤情報の拡散は許さないという決意とともに、断固たる対策を講じていく必要がある。
参考文献
1 Jenaro C et al.. Agg Vio Behav. 2018.
2 De Castro et al. Child dev 2002.
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