>短編小説『体育会系ライフ・スタイルは永遠なり』
>「先輩、お久しぶりっす!」
>商社マンの小村英雄は、久々に訪れた大学ラグビー部のOB飲み会で、現役部員たちの熱い視線に囲まれていた。彼の登場と同時に、後輩たちは待ってましたと言わんばかりに就活の質問攻めを開始する。
>「ガクチカって何を書けば良いんすか?」
>「ESに書く志望動機が思い浮かばないんすけど…」
>小村はビールを一口飲み、鼻で笑った。
>「ガクチカ? ES? そんなもん適当に書いとけ!」
>場が一瞬静まり、ざわついた。
>「先輩、それじゃ真面目に就活できませんよ!」
>「真面目に答えとるよ。俺らOBが頑張ってるおかげで、お前らは推薦さえもらえば内定確定だ。だからガクチカもESもいらん」
>「あざっす! 先輩信じます!」
>後輩たちの顔が一気に明るくなり、乾杯の声が飛び交う。小村も満足そうにジョッキを掲げた。
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>◆体育会系ルートで人生安泰?
>「先輩、御社ってセクハラとか厳しいんすか?」
>ふと、後輩の一人が口を開いた。
>「風俗とか行っても大丈夫っすか? 俺、練習終わった後に池袋の風俗で1本抜くのが習慣になっちゃってて…」
>小村はまた鼻で笑った。
>「問題ねぇよ。俺だって妻子がいるけどキャバクラ通いはやめられん」
>「マジっすか? じゃあ会社の経費で風俗行けたり…?」
>「そこまでは無理だが、OB会の積立金でたまに抜きキャバ行ってるぜ」
>後輩たちは大爆笑。体育会系の結束はこうして深まっていくのだった。
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>◆社内恋愛とセクハラの境界線
>「でも先輩、社内でナンパするとセクハラって騒がれません?」
>別の後輩が不安げに尋ねる。
>「昔はそんなことなかったんだけどな。1980年代まではWin-Winの関係だった」
>小村は昔を思い出しながら話し始める。
>「ところが1990年代以降、高学歴の女性総合職が増えて、社内ナンパがセクハラ扱いされるようになった」
>「でもILOハラスメント禁止条約ってアメリカとかフランスも批准してないっすよね?」
>「そうなんだけど、社内には共産党とか社民党を支持する連中が増えて、どんどん窮屈になった」
>後輩たちは一様に溜息をつく。
>「社業が伸び悩んでるのに、面倒な伝票整理ばっかりしてる高学歴女子がのさばってるってヤバくねっすか?」
>「ほんそれ。仕事できる体育会系の方がよっぽど戦力になるのにな」
>小村は苦笑しながらジョッキを空ける。
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>◆「課外授業」してやるか?
>「でもさ、そいつらも性欲あるんでしょ?」
>突然の一言に場がどっと沸く。
>「男日照りで蜘蛛の巣張ってそうっすね!」
>「いっそ先輩が『課外授業』してやりゃいいんすよ!」
>小村は爆笑しながら肩をすくめる。
>「それもアリかもな(笑)」
>体育会系OBと現役部員の夜は、こうしてキャバクラへと流れ、深夜まで続くのだった。