還暦のカミングアウト
https://mainichi.jp/articles/20180516/ddh/041/070/003000c
「60歳に なって、
女性として 生きることを 選んだ 人が いる」。
先日、
LGBTなど 性的少数者を 支援する
名古屋市の 団体を 取材した 際、
メンバーから こんな 話を 聞いた。
岐阜県各務原市に 住む 田中雪斎さん(71)だった。
戸籍上は 男として 生まれたが、
体と 心の 性が 一致しない トランスジェンダー。
ミニ丈の ワンピース姿で 現れた 田中さんは
「目立つように、
あえて 派手に している。
同じように 悩む 人と つながる きっかけに なれば」
と 話した。
元教師。
子どもたちと 校庭で 弁当を 食べると、
校長は
「他の 先生が しないことは するな」と 言った。
異質な ものを 排除し 横並びを 求める 現場に
嫌気が 差して 数年で 退職した。
60歳近くまで 塾講師を 務め、
孫も 2人 いる。
還暦での カミングアウトに 好奇の 目も あったが
家族や 友人の 理解が 支えに なった。
「当事者が 行動しないと 社会は 変わらない」。
自治体や 企業に 出向き、
性の 多様性を 尊重する 環境整備を 訴えている。
古い 価値観に 基づく 人権侵害が 根強く 残る 社会に、
風穴を 開けてほしい。
【式守克史】
(毎日新聞2018年5月16日中部夕刊)