大相撲初場所で初優勝を飾った大関稀勢の里の横綱昇進が正式に決定した。若乃花以来19年ぶりの日本出身力士として、相撲ファンはもちろん、マスコミも沸きに沸いている。
ところが、その稀勢の里にちょっと気になるニュースが飛び込んできた。きっかけは24日付の共同通信が、稀勢の里の2014年初場所当時のエピソードを報じたことだった。
共同電によれば、2014年初場所14日目、7勝7敗となり失意のなかにあった稀勢の里は、初の休場を決意。心が折れかけていたが、その後、〈発想を広げるために池井戸潤や百田尚樹ら人気作家の小説を読み、合気道を習ってへその下に力を入れて下半身を強化。食事では揚げ物を避け、体幹を鍛えた。15年からは安定感が徐々に戻り、昨年は初の年間最多勝。低迷を打破した〉という。
この共同電を複数の新聞社が記事にすると、ツイッターですぐに反応したのが記事に名前のあった百田尚樹センセイだった。
〈今日の「京都新聞」などに、「稀勢の里が、心が折れそうになったとき、百田さんの本を読んで頑張った」と言っていたという記事が載っていたらしい。
私の本が稀勢の里に力を込めて与えたと思うと、めちゃくちゃ嬉しい!〉
〈ネット検索したら、稀勢の里は去年の九州場所では『カエルの楽園』を読んでいたようですね。意外です(^^;
今回、心が折れそうになったときに読んでいたのも『カエルの楽園』なのかな。〉
〈稀勢の里に本を送りたい!!(^^)〉
ようするに、百田センセイ自ら、稀勢の里が『カエルの楽園』を読んでいたことを明かし、心が折れかけていた稀勢の里に力を与えたのは『カエルの楽園』かもしれない、と自慢げにツイートしたのだ。
これを受けて、百田信者のネトウヨのみなさんは大喜び。〈稀勢の里関が百田先生のカエルの楽園を読んで自らを鼓舞していたとは!!!〉〈稀勢の里は以前、精神面が弱い力士でした。カエルの楽園が逆に弱い自分を奮起したのだ〉〈まさに「日本男児此処に在り!」、稀勢の里関、応援してますよ〉〈「横綱稀勢の里も読んだ『カエルの楽園』」で再売り込みしましょう!〉と、その界隈では完全に『カエルの楽園』が稀勢の里を横綱に押し上げたことになってしまった。
しかし、これ、本当なのだろうか。本当だったら、稀勢の里って相当にヤバい人なのでは……。断っておくが、当サイトは“百田憎し”でこんなことを言っているわけではない。相撲界の体質を考えれば、横綱になった力士がたまたま百田尚樹ファンだったとしても別に驚きはないし、純朴な人なら『永遠の0』や『海賊とよばれた男』を読み、その語り口に騙されて奮い立った、なんてことも十分あると思う。しかし、百田センセイがもちだしたのは、あの『カエルの楽園』なのだ。
全文はソース先にて
http://lite-ra.com/i/2017/01/post-2877-entry.html