中国の不動産会社、上海中房置業は9日、オーストラリアの大富豪ジーナ・ラインハート氏と共同で、豪牧場運営会社S・キッドマンが処分を進める巨大牧場を3億6500万豪ドル(約290億円)で買収する案を発表した。豪国内では中国資本による農地買収に警戒感が強いため、中国色を薄め、理解を得たい考えだ。
キッドマンが保有する牧場の総面積は10万平方キロと、韓国国土に匹敵。上海中房も参加した中国勢が買収案を過去に2度提示したが、豪政府は「安全保障上の懸念がある」(モリソン財務相)と、承認を拒んだ。世論調査では、国民の87%が「外資による農地買収を懸念」と回答し、警戒論が根強い。
上海中房は今回、ラインハート氏の企業が67%、上海中房が33%を出資する会社による牧場買収を提案した。豪政府は世論も見極めて、是非を慎重に判断する構えだ。
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