代わりに短期労働のスーパー年金拠出95%吸い上げ
海外からのバックパッカー、ワーキング・ホリデー・メーカーの短期労働に最初の1ドルから32.5%の所得税を課するというバックパッカー税は、海外からの若い観光客がニュージーランドやカナダに逃げてしまうことを恐れる観光業界と、海外からの若い旅行者に労働力を負っている農民の猛反対を受けていた。また、保守連合政権の少数派与党国民党も農民の要求を受けて反対の意思を明らかにしていた。
9月27日、保守連合連邦政権が32.5%のバックパッカー税法案を断念し、代わりに最初の1ドルから19%の所得税を課すること、また、バックパッカー、ワーキング・ホリデー・メーカーら短期労働者にも課していたスーパー年金拠出金はこれまで短期労働者が国外に出る時に返還していたが、これを95%国庫に吸い上げ、5%のみを返還する案を発表した。この案には不服の声が挙がっている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
VIC州で柑橘農園を経営し、果樹農家団体の会長をするタニア・チャップマン氏は、「スーパー年金を受けることのないバックパッカーはスーパー年金拠出金を払わなくていいことにして、その分を所得税増率しないのだろう。農家にとって何の利益にもならないし、労働者にとっても利益にならない。単に事務作業の重荷を負わせるだけではないか。今年、農家を回って話を聞くと、すでに求職に来るバックパッカーが昨年より40%ほど減っていると言っている」と語っている。
また、ワーキング・ホリデーの年齢上限を現在の30歳から35歳に引き上げる案は歓迎しているが、バックパッカー税が1年半も宙に浮いたまま最終的に減率されたことについて、バックパッカー達は何か月も前から旅行の計画を建ててやって来る。1年半の間、彼らはニュージーランドやカナダに行く航空券を買ってしまっているはずだ。オーストラリアの評判は当分回復しないだろう」と語っている。
また、スーパー拠出金を全額返還せず、95%を連邦政府が取り上げてしまうことについても、「政府は現行の税率13%から19%に引き上げる上に、スーパー拠出金の95%を取り上げる。まるで二重取りだ。結局、バックパッカーにとっては10%から11%程度の増税になる。しかも事務手続きの重荷がある」との不満も出ている。
http://nichigopress.jp/ausnews/politics/132076/