2020年に開催される東京オリンピックをめぐってはさまざまな問題が起こっていますが、毎回、世界各都市でオリンピックが開催されるごとにインフラ・競技場 ・開催費用などを巡って多くの問題が生じています。「オリンピックを開催した都市は国際的に知名度が上がる」とも言われていますが、実際のところ、過去のオリンピックで利益を出したのはたった1都市のみ。そこで、「オリンピックの開催地を毎回変えるのではなく、『オリンピ ック・シティ』を作ってしまえばいい」と いう提案が行われています。
インフラを整えたり、競技場を作ったり、のべ1万人にも及ぶアスリートと、数千人~数万人という観客を収容できる場所を設けたりと、オリンピックは大いに盛り上がるイベントであると共にお金のかかるイベントでもあります。また、ある調査によると、過去20回のオリンピック開催のために立ち退きを余儀なくされた人は2000万人にもおよび、1988年に行われた韓国・ソウルのオリンピックでは貧しい人々が暮らすエリアがスタジアム建設のために一掃され、少なくとも75万人が立ち退かされたとのこと。同様に、1996年のアトランタオリンピックでは3万人 、2008年の北京オリンピックでは125万人が家を失ったと言われています。
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開催費用もすさまじく、2012年のロンドンオリンピックでは400億ドル(当時のレー トで約3兆1500億円)がかかったと言われており、2016年に開催予定であるリオ・ デ・ジャネイロのオリンピックの費用は当初23億ドル(約2740億円)でしたが、今では150億ドル(約1兆7800億円)にまで膨れあがっています。
オリンピックの支持者たちは「オリンピックの開催地となった場所は世界中で知名度が上がる」と主張しますが、今までのところ、実際に利益が出たのはロサンゼルスでのオリンピックのみ。1984年の ロサンゼルスオリンピックでは極力既存の施設を使い、選手村として大学の寮を使用、ボランティア活動も徹底的に活用し、国際オリンピック委員会が2度と開催地に選ばないぐらいの商業化を実施した ためです。
オリンピックというゲームは存在自体がゲーム化しており、高額な参加費のために多くの国はホストとして参加できないにも関わらず、大都市は多額のコストを求められ、不要なアートプロジェクトを実行させられ、利益を得るのは国際オリンピック委員会だけという状況になっています。
オリンピックを取りやめるという案は行き過ぎだとしても、そろそろ何らかの新しいモデルを作る時期にきているはず。 そして公共政策の研究者ジョン・レニー・ ショートさんによって提案されているの が「オリンピックを毎年同じ場所・施設で開催すること」なわけです。
ショートさんが提案するのは、住民がほとんどいない島などを「オリンピック・ シティ」に指定して、競技場や選手村を作ること。住民がいない場所を選べば何 千万人もの人が家を失ったり、混乱を生み出したりしなくてもすむはずで、また4 年ごとに世界各都市に余計なコストをかけずにすみます。さらに、オリンピックを開催していない時期に世界のあまり豊かでない地域のアスリートたちに施設を開放すれば、多くのスポーツマン・スポー ツウーマンにとっても利益があります。 加えて、コンベンションセンターを建設すればスポーツだけではなく、芸術や文化のハブにもなり得ます。
「オリンピック開催で大きな利益をあげる国際オリンピック委員会は、新たな施設建設のための初期費用を出せるはず」 と主張するショートさんは、さらに「多額の借金を抱えているギリシャが国際オリンピック委員会に土地を売却すれば、恒久的なオリンピック開催の場所が確保できるだけでなく、経済危機も救える」という理論を展開しています。既にギリシ ャは財政再建のために島の販売を開始していますが、国際オリンピック委員会に販売すれば収入があるだけでなく、建設作業のために雇用も生み出せるとのこと 。また世界各都市で開催されるオリンピックは不要な施設やインフラを作り出しますが、上記で想定した恒久的なオリンピック施設の場合、使われない無駄な施設やインフラは生まれません。
さらに「オリンピック」の語源は古代ギリシャの都市・オリュンピア なわけなので、回りに回ってオリンピックをギリシャに返すことになり、歴史的に見てもこれ以上の場所はない、とショートさんは唱えています。
以上です。
ソース
http://gigazine.net/news/20150906-olympics-same-place-every-time/
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