閉校した兵庫県篠山市内の小学校が、地元住民らによるカフェや、若手職人らのアトリエとしてにぎわっている。
かつて子どもたちが学んだ六つの教室は近く“満室”となる予定。
運営を担う住民出資の合同会社には視察も相次ぎ、校舎跡を活用したコミュニティービジネスの事例として注目を集めている。(井垣和子)
2010年に閉校した旧篠山市立雲部小学校(同市西本荘)。
住民が運営するカフェ「里山工房くもべ」はかつての職員室だ。黒板や机、椅子をそのまま使い、学校の雰囲気が残る。
眼下にはのどかな田園風景が広がる。
閉校後、大阪の個人事業主による活用が立ち消えとなり、地元のまちづくり協議会が住民にアンケート。
憩いや交流の場としての再生を望む声が上がり、校舎を使った収益事業を担う法人の設立を決めた。
住民250人が1口5千円を出資して合同会社を立ち上げ、13年11月にカフェを開店した。
地元農家から仕入れた野菜などをたっぷり使った定食(800円)が人気で、100食が出る日もある。
調理は主婦ら9人が担当。
神戸市北区から家族で訪れた女性(42)は「小学校でカフェ、という組み合わせに興味がわいた。
期待以上においしかった」と満足そうだった。
開店から1年ほどたつと、若手職人や画家らから制作場所として教室を借りたいという依頼が合同会社に寄せられるようになった。
木工作家や丹波布の作り手ら、アトリエを開くのは5月までに6組となる。
革製品を作る鈴木恵美さん(34)は「篠山には職人仲間がいる。
他の作家さんやお客さん、地域とのつながりも創作への刺激になる」と、高砂市から移住して開業。
靴職人の田代慎吾さん(31)は妻とともに神戸市東灘区から篠山に移った。
もともと工房を探していたが「子育てにも良さそう」と決めた。
かつての図書室など教室以外のスペースの活用も進む。
4月からは商社を定年退職した地元の男性が、小学生向けに英会話教室を開く予定という。
合同会社の代表社員今井進さん(66)は「地域の協力を得ることが鍵。
お客さんが訪れ、仕事が生まれ、いきいき働けることを大切にしている」と話す。
カフェは金、土、日、月曜営業。TEL079・556・2570
以下ソース
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201502/0007758266.shtml