政府は日本初の導入が検討されている「IR(カジノを中心とした統合型リゾート)」の設置候補地として
横浜市と大阪市の2箇所を選定し、2020年の東京五輪・パラ五輪の前に開業する方針を決めたという記事が
2月19日付けの一部の新聞によって報じられた。
誤解を防ぐ意味で解説すると、カジノ合法化や設置の地域に関しては
通称「カジノ法案」といわれる「IR推進法」ならびに「IR実施法」の制定後に
主務大臣により地域指定のための基本方針を定めるのが正式な手続きであり、法案が何も成立していない今の段階で政府がこれらを断定することはない。
よってこれを報じた新聞は、あくまで独自の取材に基づき
一部の政府関係者の個人的な意見をフライング気味に報じたと見るべきだろう。
しかし、こうした情報が流れる背景には、カジノ合法化の動きが加速化しているという事実がある。
カジノ推進法案は昨年の衆議院解散にともない廃案となっているが、今国会に再提出される予定で
手続きが順調に進めばその記事の通り、2020年に開業を間に合わせるのは不可能ではない。
しかし開業は五輪に間に合わせるのがベストなのか? カジノが解禁されるとして、日本にとっていつの開業が望ましいのか。
世界約140カ国で合法化されながら日本では違法のカジノ。
それを事業の中心においた統合型リゾート「IR(Integrated Resort)」の導入が注目されている。
きっかけは「シンガポールの衝撃」だ。
2010年に2箇所のカジノ(IR)を導入したシンガポールでは観光収入が対前年比約1.5倍、経済成長率14.5倍という驚異的な数字を記録した。
しかもカジノ単体でGDPの約1%を稼ぎ出す一大産業となった。
こうした経済効果に加え、観光立国の目玉として日本でもカジノ(IR)の導入が検討されているが
2020年東京五輪の招致決定により、五輪開催までに開業させて相乗効果を狙おうとする意識が急速に高まった。
冒頭の新聞記事もその考え方に基づくものだ。