市警の内規にも背く行為というが、地元大陪審は昨年12月、この警官の不起訴処分を決定。
黒人少年(18)を射殺したミズーリ州の白人警官が不起訴となったことと合わせ、刑事司法への不信が全米に広まった。
米国の司法制度に詳しい西村あさひ法律事務所の平尾覚弁護士は「ほとんどの事件は大陪審を経ずに
司法取引で終結している。
大陪審がかかわるケースでも実質的にはプロの検察官が判断しており、制度が形骸化、儀式化しているとの指摘がある」と話す。
米国では以後、警察の職務執行で黒人が射殺されるたびに、ニュースになるような状況もみられた。
銃社会の米国と違って、日本では警官が発砲すること自体ほとんどない。
刑法犯認知件数は年間百数十万件で推移しているが、相手に向けて拳銃を撃つ件数は10件に満たない。
警察庁によると、平成21年4件▽22年1件▽23年1件▽24年5件▽25年4件-といった具合だ。
死者はこの5年間で1人だった。
犯罪が凶悪化し殉職の危険が高まる一方で、拳銃使用に「過度に抑制的だ」として、警察庁が規則を改正したのが13年のこと。
従来の警棒優先の規定を削除し緊急時には威嚇なしに発砲できると明文化した。
しかし規則改正後に拳銃使用が増えたかといえばそうではない。
(1)単に構える(2)威嚇射撃(3)相手に向けて撃つ-の合計は15年には65件だったが
22年には3分の1以下の19件まで減少。ここ数年は20件台で横ばいの状態だ。
「抑制的」な傾向はむしろ強まっているといっていい。