2002年10月12日夜、長野県塩尻市広丘郷原の奈良井川河川敷にて、乗用車が炎上しているとの通報があり、消防の出動などにより間もなく鎮火したものの、灯油をかけて燃やされた車内外から男女の遺体が発見され、このうち女性の方が桃井望であることが判明した。
焼損の激しさ及び消火活動によって現場近くが踏み荒らされ、検証は困難であったが、彼女の死因が数か所におよぶ刺傷によるものであったことから、警察では現在も男性による無理心中・殺人の両面から捜査している。
心中とすると下記の点が矛盾している。
桃井はアイドルユニットのメンバーとなってまだ1年も経っていなかった
靴が自宅に残されていた (2人とも裸足だった)
自宅のPCの電源が入っていたままであった
運転者及び自動車の所有者の男性 (桃井は自動車運転免許を持っていなかった)が後部座席で発見されたこと
男性は車内、女性は車外で発見された
2人とも事件以降の日に知人と会う約束をしている
灯油を撒いて着火したにもかかわらず、灯油を入れたと思われる容器が発見されなかった
2人とも煙をほとんど吸い込んでおらず、焼死の可能性が低いこと
男性は事件の数か月前に80万円を貸しているが、借用書に記された名前の人物は存在しない
桃井の身体にあった刺し傷をつけたと思われる包丁が、男性の左手に握られていたこと (この男性は右利き)
また、長野県警察が最初に事件を「無理心中」と判断し、男性の遺族にその旨を告げていたことが遺族の発言によって明らかになった。
同年11月、男性の両親は「無理心中は考えられない」として被疑者不詳のまま殺人罪で告訴し、翌年1月に受理された。
同年4月には男性の友人が中心となって集めた、殺人事件としての捜査を求める約1万人分の署名が、当時の長野県知事であった田中康夫に手渡されている。
県警に捜査本部設置を求める行政訴訟は、却下された。
男性が契約していた保険会社は「支払い責任開始から2年以内の自殺 (心中)だから支払い義務はない」と保険金支払いを拒否したので、男性の両親は「何者かに殺害された」として2003年12月に民事訴訟を起こし、保険会社に支払いを求めていた。
2007年1月23日、長野地方裁判所飯田支部は「周囲の状況から見て、複数犯であれば殺害可能であり、第三者による他殺」と認定し、保険金の支払いを命じた。
民事裁判にて「他殺」と認定されたかたちである。
民事裁判では刑事裁判にくらべて事実認定は非常にゆるやかであり、刑事裁判の方が厳密とされるが、本件では警察の処分とは明確に異なる無理心中から他殺という判断がされている。