このため県は、きりたんぽを観光振興の柱の一つに掲げる鹿角、大館、北秋田の3市と関連2団体と協議。テレ朝側に番組タイトルの変更と、きりたんぽを男性の下腹部に見立てた使用をしないよう、連名の文書で申し入れる準備をしていた。
しかし7日朝、テレ朝側から「お騒がせしている」と電話があり、県側が口頭で申し入れた。同日午後、いずれも了承と回答があり、その後タイトルは「未定」と変更された。
同室の成田光明室長は「きりたんぽは秋田の特産品。(美味という)印象を損なう恐れがある。憤りを感じる」と語気を強めた。
観光などの関係者からも苦情が出た。きりたんぽの知名度向上に取り組む「本場大館きりたんぽ協会」の石川博司会長は「郷土のソウルフードを汚されたようで、大変不愉快。きりたんぽは元々、秋に米の収穫を祝って食べられていたもの。番組の趣旨とはかけ離れている」と話した。
きりたんぽを巡っては以前にも、男性の下腹部を連想させるマスコットが製造され、批判が集まったことがある。「発祥の地鹿角きりたんぽ協議会」の担当者は「(番組のような趣旨で名前が使われることは)今に始まったことではなく、またかという思いだ。決して良い気分ではない」と突き放した。
北秋田市商工観光課には「なぜ、あんな番組タイトルを容認したのか」という抗議があったといい、市の担当者は「知らぬ間に番組タイトルは決まっていた。困惑している」とうなだれた。
また、経済的な打撃を懸念する声も。大館市できりたんぽを販売する「陽気な母さんの店」の石垣一子社長(63)は、「お客さんは商品イメージに敏感なので、今後の売り上げに影響しかねない」と訴えた。